脳と発達
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症例報告
早期の単純血漿交換療法と免疫抑制剤導入が有効であった抗筋特異的チロシンキナーゼ (MuSK) 抗体陽性重症筋無力症の1例
浅井 完石井 雅宏下野 昌幸五十嵐 亮太松田 夢子福田 智文千手 絢子高野 志保塩田 直樹楠原 浩一
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2018 年 50 巻 4 号 p. 288-291

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抄録

 小児の抗muscle-specific tyrosine kinase (MuSK) 抗体陽性の重症筋無力症 (MG) は稀であり, 治療法も確立していない. 小児での予後は成人に比して不良である. 我々は早期の単純血漿交換療法 (PE) と免疫抑制剤の併用が効果的であった抗MuSK抗体陽性MGの1例を経験した. 患児は12歳から眼球運動障害, 眼瞼下垂, 嚥下障害を認め, 抗MuSK抗体が陽性であった. ステロイドパルス治療を2コース施行したが, 症状の改善に乏しかった. そのため3コース目は行わずステロイド内服とPEの併用に変更した. PE 2コース終了後から眼球運動障害や眼瞼下垂は消失し, 4コース終了時には嚥下障害も消失した. 5コース終了後直ちに, tacrolimus内服を開始した. 発症2年後も寛解を維持している. 小児抗MuSK抗体陽性MGにおいてはPEや免疫抑制剤といった積極的治療を早期に試みるべきであると考えた.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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