脳と発達
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原著論文
静注用抗けいれん薬の安全使用に関する調査
星出 まどか是松 聖悟宮田 理英三牧 正和村松 一洋宮本 雄策山中 岳下川 尚子山内 秀雄
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2019 年 51 巻 1 号 p. 15-18

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抄録

 【目的】昨今の静注用抗けいれん薬の使用状況と有害事象を把握し, 安全使用の向上に努めることを目的として調査を行った. 【方法】小児神経専門医1,118名を対象にWebアンケートを行い, 2015年度における, 15歳未満の小児のけいれんに対する静注用抗けいれん薬の使用実績と有害事象の有無を質問した. 【結果】回答者145名 (回収率13.0%) のうち, 静注用抗けいれん薬を使用した86名の年間実施件数の総数は2,355件であった. 各注射製剤の実施件数はmidazolam (MDL) が最多 (968件) で, diazepam (DZP), fosphenytoin (FOS) が続いた. 保険適応外のDZP注腸 (22件), MDL鼻注 (50件), 修正在胎45週未満児へのMDL静注 (26件), 2歳未満児へのFOS静注 (72件), thiopental/thiamylal静注 (128件) 等もみられた. 24件 (1.4%) で, 呼吸停止やその他濃厚な処置や治療を要した有害事象が発生していた. 【結論】健康保険適応外使用も含め, 多くの抗けいれん薬が安全に投与されていたが, 一部に有害事象がみられた. 多くはけいれん重積時に使用されているため, 有害事象がすべて薬剤による副作用とは限らず, けいれんそのものにより生じた急変が含まれると考えるが, 医療者はより一層患者の状態への注意を払いながら薬剤を使用すべきである.

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© 2019 一般社団法人日本小児神経学会
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