【目的】日本小児神経学会医療安全委員会では, 脳波検査時の鎮静についての指針作成を目指しており, その前段階として, 脳波検査時の鎮静における現状をアンケート調査した. 【対象と方法】小児神経専門医1,118名を対象にWebアンケートを行った. アンケートは, 2015年度の常勤施設で, 15歳未満の小児に対し脳波検査時に行った薬物鎮静についての回答を求めたものである. 鎮静に用いた薬物, 経口摂取制限の有無, 観察および帰宅許可の基準の有無についてと, 有害事象の経験の有無を質問した. 【結果】179名から回答が得られた (回収率は16.0%). 脳波検査を実施している医師は163名で合計概数は28,390件, そのうち157名の医師が薬物鎮静を実施し概数は13,829件であった. Triclofos sodiumを151名 (96.2%), chloral hydrateを125名 (79.6%) の医師が使用していた. 有害事象の報告は3件 (0.02%) であり, 内訳はふらつき等による外傷2件と呼吸停止1件であった. 【結論】回収率が低く全体像を把握はできなかったものの有害事象の報告はまれであった. しかしながら, 呼吸停止の報告もあり, 十分な観察と緊急時に備えた準備の重要性を周知することが必要である.