脳と発達
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原著論文
筋ジストロフィー患者自身による災害対策の現状 (第二報)
加藤 沙耶香服部 文子水野 久美子栗原 崇浩榎原 毅矢澤 健司貝谷 久宣齋藤 伸治
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2020 年 52 巻 5 号 p. 306-310

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抄録

 【目的】第一報にて我々は筋ジストロフィー患者自身の背景を調査し, 経済的, 人的支援が必要であると報告した. 今回は患者自身による災害対策の準備状況について第二報として報告する. 【方法】2014年から2015年に, 筋ジストロフィー協会会員へアンケートを送付し, 現在の災害対策について調べた. 【結果】876通の回答 (回収率53.8%) のうち在宅筋ジストロフィー患者776人に対し集計を行った. 3日分以上暮らせる準備, 保険証のコピー, ヘルプカードの準備をしている人はそれぞれ34.4%, 28.1%, 8.0%であった. 18.4%が停電時の自宅での電源確保をしていた. 自由記載では, 災害対策に関する情報が得られず, 準備の仕方がわからないことやニーズにあった行政の対策が取られていないという意見があった. 【結論】停電対策, ヘルプカードの用意など費用負担と行動力を必要とする準備には特に改善の余地があることがわかった. 自助対策が進まない理由として情報不足と患者背景 (第一報) が考えられた. 患者のニーズに沿った経済的補助, 人的補助, 福祉避難所の整備体制が行政には望まれる.

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© 2020 一般社団法人日本小児神経学会
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