2021 年 53 巻 1 号 p. 33-38
【目的】脳炎・脳症後てんかんは難治に経過する例が多いが, methylprednisolone pulse therapy (MP) 有効例の報告がある. 治療前髄液サイトカインとMPの有効性の関連を検討し, 有効性を予測する因子を同定する. 【方法】脳炎・脳症後てんかん患者で, MPを行った患者のうち, MP前に髄液サイトカインを測定した15例を対象とした. MPは1クール (30mg/kg/日, 3日間) /月を基本とし, MP3回施行後に有効性の評価を行い, 発作減少率が50%以上の症例を有効例とし, 無効例と臨床データおよび髄液のサイトカインを比較した. 【結果】有効例は15例中5例 (33.3%) であった. 無効例の中に発作の頻度がやや減少したものや発作が弱くなったものが8例, 行動変化, 発語の増加などの認知・行動面の改善を認めた症例が7例あった. てんかん発作や認知・行動面での悪化を認めた症例はなかった. 有効群・無効群のMP施行時年齢, 施行回数などに差はなかった. 有効群の髄液中CCL4は無効群・疾病対象より低値, 無効群の髄液中IL-9, IL-12, CCL3は有効群・疾病対象より高値であった. 【結論】脳炎・脳症後てんかん患者において, 髄液CCL4低値はMP治療有効性を, IL-9, IL-12, CCL3高値はMP治療不応性を示唆する可能性がある.