2021 年 53 巻 1 号 p. 58-62
難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS) においては, 急性期の難治性けいれんに対するケトン食療法の有効性が過去に報告されている. しかし, 急性期には抗てんかん薬や鎮静薬の使用による消化管障害が生じやすく, 経腸ケトン食療法が困難なことがある. 症例は13歳男子. 発熱, 頭痛で発症し, 第6病日に意識障害と全身性強直性けいれんが出現し入院した. 多剤抗てんかん薬・静脈麻酔薬への治療抵抗性を示す焦点発作が群発し, AERRPSと診断した. 難治性のけいれん発作に対し, 第14病日から経腸投与と経静脈投与を併用した古典的ケトン食療法を開始した. 第20病日に経静脈投与を終了し, 経腸投与のみへ移行した. ケトン食療法開始後, 合併症の出現なくケトーシスへ到達し, 発作頻度は減少した. 本例の経験から, AERRPS急性期で経腸栄養が困難な症例において, 経静脈ケトン療法は, 脂質・肝膵逸脱酵素等の注意深いモニタリング下で実施可能であり, けいれんを早期に抑制する治療としての選択肢の一つとなりうると考えられた.