2021 年 53 巻 2 号 p. 118-123
【目的】重症筋無力症 (MG) や慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー (CIDP) をはじめとする免疫性神経筋疾患の治療は長期にわたるため, 小児では成長や発達に配慮したきめ細かな日常生活上の管理が必要である. しかし, その具体策についてはエビデンスが不明確であり, 担当医は疑問を抱えながら診療している. 診療の標準化を図る目的で, 多施設の状況について調査し検討した. 【方法】2017年2月, 小児免疫性神経筋疾患研究会会員 (研究時の会員82名67施設) に対し, アンケートを行い解析した. 【結果】15施設から回答を得た. 各施設で平均5.5 (中央値4) 名のMG患者と0.3名のCIDP患者を診療中であった. 易感染性や消化性潰瘍, 骨粗鬆症など副腎皮質ステロイド薬の副作用への対策や, 予防接種基準, 眼科診察などについて, 施設間での相違が明らかとなった. 特に, MGにおいて禁忌であるベンゾジアゼピン系薬剤の, けいれんや鎮静の際の使用については様々な対応が見られた. 【結論】小児の免疫性神経筋疾患患者における日常生活管理の基準は施設ごとに異なっており, 経験する患者数の少なさもその一因であると考えられた. この結果と各種ガイドラインおよび文献を参考に, 小児の日常生活指導案をまとめた. これらをもとに多施設での経験を集積し, より有用な基準の策定が望まれる.