脳と発達
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原著論文
幼児期発症の重症筋無力症に対するtacrolimus療法の有効性
松浦 隆樹浜野 晋一郎大場 温子野々山 葉月代田 惇朗久保田 淳樋渡 えりか平田 佑子小一原 玲子菊池 健二郎
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2021 年 53 巻 2 号 p. 124-128

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抄録

 【目的】幼児期発症の重症筋無力症 (myasthenia gravis ; MG) に対するtacrolimus療法の有効性を評価した. 【方法】2012年1月から2020年5月に当センターで幼児期発症のMGに対してtacrolimus療法を行った5例の臨床症状を後方視的に検討した. またtacrolimus開始時, 開始後1か月, 3か月, 6か月, 9か月, 12か月, 最終評価時のMG-ADLスコア, MG compositeスコア, 抗AchR抗体価を継時的に評価した. 【結果】5名 (男1名) の病型は眼筋型2例, 全身型3例. tacrolimus開始年齢は3.8 (2.3〜9.0) 歳, 初期量は0.05 (0.04〜0.05) mg/kg/日であった. 治療開始から治療反応が得られるまでの期間は30 (9〜67) 日であった. 全例で開始後3か月の時点のADLスコアとMG compositeスコアは低下した. 最終評価でpharmacologic remissionとminimal manifestationsが得られた4例はtacrolimus開始がMG発症後10か月以内であり, improvedに留まった1例は発症後55か月であった. 【結論】幼児期発症のMGでは, tacrolimus療法の効果判定は3か月で行えること, 早期のtacrolimus導入が予後に影響する可能性が考えられた.

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© 2021 一般社団法人日本小児神経学会
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