2021 年 53 巻 5 号 p. 364-368
Duchenne型筋ジストロフィー, 福山型先天性筋ジストロフィーなど神経筋疾患の出生前診断では, 患者の遺伝子変異の正確な情報, 家系図の丁寧な聴取が重要であり, 可能な限り時間的余裕をもって十分な遺伝カウンセリングを実施する. 脊髄性筋萎縮症, Duchenne型筋ジストロフィーでは, 近年新規治療薬が市販されており, 今後重篤な臨床経過が軽症化することが期待される一方, 出生前診断の実施の可否に関わる課題が出てくる可能性がある. 神経筋疾患の出生前診断にも今後は非侵襲的検査が応用される可能性も考えられ, 疾患としての適用, 検査の実施時期, 診断の正確性を含む出生前診断の課題について, 小児神経科医として適切に対応していく必要がある.