脳と発達
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原著論文
小児精神神経疾患に関連する睡眠障害に対するramelteonの効果
杉浦 由希子久保田 雅也石黒 精
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2021 年 53 巻 6 号 p. 452-455

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抄録

 【目的】小児精神神経疾患に関連する睡眠障害に対するramelteonの効果を明らかにする. 【方法】当院神経内科と総合診療部で睡眠障害 (睡眠相後退症候群, 非24時間睡眠覚醒リズム, 中途覚醒) を有する患者 (生後6か月から23歳) のうち2010年1月〜2017年12月の間に新規にramelteonを処方された患者について, 睡眠障害の種類, 体重あたりの薬用量, 背景疾患, 併用薬剤とramelteonの効果の関係をカルテから後方視的に検討した. 効果判定の基準としては 「中途覚醒が少なくなった」, または 「望ましい一定の時刻に眠れるようになった」 ものを効果ありとした. 【結果】対象は210例で130例 (62%) に効果を認めた. 睡眠相後退症候群が104例中67例 (64%), 非24時間睡眠覚醒リズムが16例中8例 (50%), 中途覚醒が44例中27例 (61%) で効果が認められた. 背景疾患別では高度視力障害が16例中12例 (75%), 自閉スペクトラム症30例中21例 (70%), 起立性調節障害に伴う不登校37例中19例 (51%), てんかん87例中56例 (64%), 脳性麻痺23例中17例 (74%) に効果を認めた. 有害事象は11%で認め用量との関連はなかった. 【結論】Ramelteonは小児精神神経疾患のある児に安全に使用できる薬剤であり, 特に自閉スペクトラム症, 高度視力障害, 脳性麻痺の患者の睡眠障害で有効である.

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© 2021 一般社団法人日本小児神経学会
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