脳と発達
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原著論文
小児てんかんにおけるlacosamideの有効性と安全性
落合 悟早川 格阿部 裕一
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2023 年 55 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

 【目的】Lacosamide(LCM)はNa+チャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進させる新規抗てんかん薬である.本邦における小児例を含んだ報告は少ない.小児てんかんへのLCM投与は有効で安全なのかを検討する.【方法】2017年10月1日から2021年5月31日の期間に国立成育医療研究センター神経内科でLCMを処方したてんかん症例を対象とした.有効性および安全性を,発作型・てんかん病型・てんかん症候群・病因・併用薬剤の有無・年齢(16歳未満および以上)で層別化し検討した.【結果】118例(うち男性62例),平均12.4歳(1歳7か月から36歳)が抽出された.全体の有効率は37%,副作用の出現率は4%であった.発作型として16歳未満では焦点起始両側強直間代発作以外の焦点起始発作が焦点起始両側強直間代発作よりも有効性が高かった.てんかん病型として16歳未満,16歳以上ともに焦点てんかんが全般焦点合併てんかんよりも有効性が高かった.【結論】本邦の小児発症てんかんに対してLCMは既報と同等の有効性と高い安全性を示した.焦点起始両側強直間代発作以外の焦点起始発作,および焦点てんかんではLCMの有効性が高い可能性がある.

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© 2023 一般社団法人日本小児神経学会
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