抄録
脳神経外科領域においては,意識障害を呈する患者が多く,この意識レベルを如何に表現するかは,大きな問題である.従来の用語(comaやstuporなど)を用いた表現は,それぞれの用語の意味の差異が不明確で,使用する医師により,内容がまちまちである欠点がある.そこで,脳卒中の外科研究会で太田らが中心になり,意識レベルを数量的に表現(300,200,100,30,20,10,3,2,1)する新しい分類法が検討・作製された,いわゆる3一3一9度方式を紹介する.3桁は覚醒し得ない意識障害のレベルで,痛覚刺激に対する反応様式で3段階に分け,2桁は,覚醒し得る意識障害で,その覚醒に要する刺激の強さで3段階に分けた.1桁は,覚醒している意識障害で,その意識内容で3段階とした(表4).この表現法により,脳嵌頓の過程や,その回復の様子が,数量的表現で明らかに知ることができる.