抄録
てんかんと診断されたが脳器質病変の可能性も考えられたてんかん児509例にコンピューター断層検査 (CT) を施行した.CT異常率は全てんかん児の131例 (25.7%) に見られた.点頭てんかん60.4%, 片側けいれん52.4%, Lennox-Gastaut症候群35.2%, 全身強直/間代けいれん16.2%, の異常率であった.異常所見の大部分は脳萎縮であった.その他の異常としては脳腫傷 (2例), 脳硬塞 (2例), 硬膜下血腫 (2例), 結節性硬化症 (2例), 脳室周囲の白質軟化 (1例), 脳架欠損症 (1例), 正常圧水頭症 (1例), および胎内サイトメガロウィルス感染を思わせる脳室壁石灰化 (1例) が見られた。てんかん重積症の2例では大脳半球浮腫とそれに引続いて同一脳半球萎縮が見られた. CTによつて脳萎縮を発見されたものは脳萎縮のなかったものより知的および運動性の障害を有することが多かった.CTは非侵襲性であるため, てんかんのような機能的疾患をもつ患児で, 何らかの脳病変を発見する手段として適していた.