1980 年 12 巻 5 号 p. 418-422
症例は4歳女児で, 嘔吐および右片麻痺を主訴として来院し, CTにて左視床出血であることが判明した.脳血管造影を行なつたが明らかな原因は不明であった.抗痙攣剤および副腎皮質ステロイド剤にて保存的に治療を行ない, 18病日のCT所見では出血巣は吸収され, 30病日に再度行なった脳血管写でも異常を認めなかつた.以上より, 小児急性片麻痺症候群として発症した左視床出血と診断した.また, 出血の原因は, 脳血管写などより明らかにされなかつたことより, 特発性脳内血腫と考えられた.