抄録
歩行開始より失調性歩行を認めた6歳女児例を, 神経症候学的, 電気生理学的, 病理組織学的観点より報告した.症候学的には, 失調性歩行を主とし, 小脳症状は認めなかった, 全深部反射の消失, 凹足, 深部知覚の障害, Romberg試験陽性を認め, 脊髄後索障害が推定された.腓腹神経生検では, 光顕上では, 総計有髄線維の減少, 大径有髄線維の選択的減少を認めた。電顕上では, onion-bulb形成, コラーゲン線維の増生を認めた.家族では臨床的にも電気生理学的にも異常は認めなかった.家族歴に特変ない以外は, 発症の時期, 臨床症状とその経過, 腓腹神経の所見では, 本症例はRoussy-Levy症候群に類似していた.本症例とFriedreich病, Charcot-Marie-Tooth病との異同および, Roussy-Levy症候群の存在につき文献的考察を加えて報告した.