1981 年 13 巻 1 号 p. 30-38
乳児期早期から大泉門が緊張性で頭蓋内圧亢進が示唆され, RIシステルノグラフィーで有効半減期の延長がみられた12例について検討した. 臨床的には障害群, 運動発達遅滞群, 正常群の3群に分けられた. 大泉門は全例正常平均値より大であった. 男児の頭囲は殆どの例で平均値より大であった.
硬膜下穿刺により少量の排液をみた症例もあるが, 硬膜下液貯留がこれらの原因であるとは考えられなかった. 血管写上無血管野なし. CTスキャンでは軽度の脳表萎縮, 脳室拡大像を示すものもあったが, 水頭症は否定的であった. 臨床的には1例は巨脳症, 4例は良性頭蓋内圧亢進症としてよいと考えられた. 本態は脳表のクモ膜絨毛にも障害があるための髄液吸収障害であろうと推測した.