脳と発達
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“てんかん・失語”症候群
語聾の2症例について
八島 祐子小野 常夫石下 恭子熊代 永永淵 正昭
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キーワード: てんかん, 語聾, 疾病失認
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1982 年 14 巻 1 号 p. 37-43

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抄録
小児期にみられる後天性失語症とてんかん発作の合併を特徴とする, いわゆる “てんかん・失語” 症候群の女児2症例について, 臨床症状の特徴と経過を報告し, これまで報告された類似の症候群と比較検討し考察を加えた.
1. 発症年齢は3歳6ヵ月 (症例1) と2歳6ヵ月 (症例2) である. 2. 原因は不明であるが, 失語症状出現2週間前に, 症例1では激しい咳嗽, 症例2では38℃の高熱が認められた. 3. 聴力は正常範囲で, 聴覚誘発反応では30dBの聴力の存在が確認された. 社会音は聴取可能であるが, 話し言葉の聴覚理解は不可能であることから語聾と診断した. 4. 疾病失認の存在が言語習得を困難にさせている一要因と考えられた. 5. 発作型は, 症例1では失立発作, 一方, 症例2では全身性強直・間代痙攣発作であった. 脳波所見は周期性棘波あるいは鋭波が両側性に, 時には側頭優位に出現した. sodium valproateの投与により, 臨床発作の抑制および脳波所見の改善はみられたが, 失語症状の改善は認められなかった.
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© 日本小児小児神経学会
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