1982 年 14 巻 1 号 p. 44-48
5歳発症の “著明な日内変動を呈する, 遺伝性進行性dystonia” の1女児例を示した.本症ではL-DOPAが著効し, dopamine系の異常が示唆され, dopamine系の体動への関与が, 推定された.脳内dopamine量は, 動物では明るい時間に高く, 暗い時間に低いと考えられているが, 本症例にみられた体動の, 日内変動は, このdopamineの変動と平行した.症状の著明な日内変動は, dopamine代謝の日内変動によりもたらされると推定された.本症では, 昼夜の睡眠で症状の改善が得られ, dopamine代謝の日内変動には, 睡眠が関与すると推定した。