脳と発達
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小児難治性てんかんに対するホルモン療法
第1編血中コーチゾール動態および臨床効果の検討
杉江 秀夫
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1983 年 15 巻 3 号 p. 241-251

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抄録

小児難治性てんかん (E. I. E. E., 点頭てんかん, Lennox症候群, 小運動発作群) におけるACTH-Zまたはハイドロコーチゾン投与中の血清中コーチゾール (SC) 濃度の動態と臨床効果を検討し, 次の結果を得た. (1) 年少児では, ACTH-Z14日間連続負荷期間内ではSC濃度がたえず上昇しつづけるのに反し, 年長児では約7日目以後はSC濃度の上昇がみられなかった. (2) ACTH-Z14日間連続負荷中の最高血清コーチゾール (Max SC) 濃度は年少児2203.1±405.9ng/ml年長児750.0±69.9ng/ml (P<0.001) と有意に年少児群が高かった. (3) 点頭てんかん発作抑制のための有効SC濃度は少なくとも500ng/ml以上であろうと推定された. (4) ACTH-Z療法は年長児群に対しては臨床効果が乏しかったが, 非定型欠神, シリーズ形成を示す症例には効果を示す事があった. 以上の事より年少児の方がACTH-Zに対する副腎皮質の反応が良好であるので, 点頭てんかんを中心とする年少児群の難治性てんかんに対して, 従来のACTH-Z投与量より少量のACTH-Zでも充分なSC濃度の上昇および臨床効果が期待できると考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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