脳と発達
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先天性筋線維タイプ不均等症の1例
福田 哲夫小林 繁一山本 佳史鴨下 重彦
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1983 年 15 巻 5 号 p. 425-431

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抄録

全身性の筋萎縮, 筋力低下が先天性に存在していたと思われる10歳の女児に筋生検を施行し, 先天性筋タイプ不均等症と診断した.
本症例は, 生直後より軽度ないし中等度の筋力低下があったが乳幼児期に進行を認めず, 骨格異常を伴い, 知能は正常であること, および筋組織所見も, タイプ1線維がタイプ2線維に比して著明に細いことから, 典型的なCFDと言えるが, 次の点で特異的であった. まず臨床的には, 12歳時の呼吸器感染をきっかけに呼吸不全の状態となり, 治療により回復するが, しばしば同様の状態を繰り返しており, 必ずしも良性の経過をとるとは言えないこと. 筋組織学的には,(1) タイプ1線維とタイプ2線維が均一なチェッカーボード・パターンをとらず, それぞれのタイプにtype groupingが認められること,(2) タイプ2A線維が欠如していること,(3) タイプ2C線維の増加がみられること. これらの所見は, この疾患の病因が, 胎生期における筋線維に対する神経支配の異常にあることを示唆するものと思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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