脳と発達
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プロピオン酸血症の1例
岡 成寛五十嵐 良雄成沢 邦明多田 啓也
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キーワード: プロピオン酸血症, VPA
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1984 年 16 巻 1 号 p. 32-37

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抄録
生後10ヵ月のとき, バルプロ酸ナトリウム (VPA) 投与により, 嗜眠・高アンモニア血症をきたしたプロピオン酸血症の1例を報告した. VPA投与前は, 精神運動発達遅滞と筋緊張低下であり, 低体温・好中球減少・血小板減少・けいれんは観察されたが, ケトーシス・嘔吐・嗜眠・高アンモニア血症は観察されなかった. 高グリシン血症は生後6ヵ月のとき, 一過性に観察された. VPA投与時の症状は, 嗜眠・嘔吐・高アンモニア血症であり, VPAの副作用との鑑別が必要であった. 患児は, 培養皮膚線維芽細胞中のプロピオニールCoAカルボキシラーゼ活性の低下が観察され, プロピオン酸血症と診断した. ロイシン・イソロイシン・バリン・メチオニン・スレオニン・グリシン除去ミルクと低蛋白離乳食によって, 患児はわずかではあるが発達がみられ, けいれんのコントロールも可能となった.
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© 日本小児小児神経学会
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