脳と発達
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先天性進行性筋ジストロフィー症の6歳女児例
非典型的福山型 (第IV型)か
石川 達也清水 国樹粟屋 厚子井上 義夫
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1984 年 16 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

歩行可能な先天性進行性筋ジストロフィー症 (CMDと略) の6歳女児孤発例を報告した.
寝返り7ヵ月, 乳児期這行不能, 起立困難から, 発症年齢を生後4~8ヵ月と推定した. 13ヵ月から歩行可能となったが, 動揺性で, 6歳になっても走れず, 4年の経過観察で顔面筋罹患が明瞭となり, 関節拘縮も軽度出現する等, 緩徐に進行した. 筋力低下は腰帯筋に目立ち, 軽度筋緊張低下, 膝蓋腱反射消失あり, 仮性肥大は腓腹筋に著明, 他の部位にも軽度に見られ, IQは70前後であった. CPKは正常上限の約20倍 (母は正常), 筋電図は筋原性変化を示し, 筋生検ではジスーフィーの所見が見られたが肥大線維はなかった. 染色体は46XXであった.
本症例は福山型CMDの非典型例のIV型 (Fukuyama et al., 1981) に酷似するが, 歩行開始が早い, 知能障害が軽い, 仮性肥大が限局性, 筋力低下が腰帯筋優位等の点でやや異なり, IV型のvariationであろうと考えた.

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© 日本小児小児神経学会
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