脳と発達
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先天性筋緊張性ジストロフィー症の中枢神経障害
下沢 伸行稲垣 真澄水戸 敬安藤 幸典高嶋 幸男竹下 研三Becker LE
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1986 年 18 巻 4 号 p. 280-285

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抄録
先天性筋緊張性ジストロフィー症の自験例3例に文献例13例を加えて, 臨床所見とともに中枢神経病理学的所見を検討した.
臨床的には筋緊張低下, 呼吸障害, 特異的顔貌, 羊水過多などを認め, 一部には胸部X線で横隔膜の挙上や肋骨の菲薄化を認めた. 病理所見では骨格筋や横隔膜筋に成熟遅延, 各種臓器に異形成がみられたが, 脳形成異常は認められず, 周産期脳障害が新生児剖検例の75%にみられた.
先天性筋緊張性ジストロフィー症が成人型に比べ知的予後が悪い原因として遺伝的因子に加えて, 子宮内環境因子, 異常体液成分の胎盤通過の可能性も考えられるが, 周産期脳障害の重要性も強調したい.
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© 日本小児小児神経学会
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