脳と発達
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小児における大脳基底核石灰化の検討
阿部 啓次郎井上 登生平野 英敏入江 勝一内田 智子大府 正治緒方 博子満留 昭久奥寺 利男
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1987 年 19 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

当院小児科を受診し, CTスキャンにて大脳基底核石灰化を認めた13例について検討した.最終臨床診断は, 偽性副甲状腺機能低下症4例・特発性副甲状腺機能低下症1例・Cockayne症候群1例・ミトコンドリア脳筋症1例・脳腫瘍2例・先天性ネフローゼ症候群1例・不明3例であった.石灰化の部位は, 淡蒼球を中心とするものが11例と大多数を占め, 周産期の障害が石灰化の原因と思われる2例のみが淡蒼球以外であった.一方, 錐体外路障害を認めたものはCockayne症候群の症例のみで, また頭蓋単純写においても石灰化が認められたのはCockayne症候群と頭蓋咽頭腫の各1例のみであった.小児では成人の場合のように加齢による石灰化が考え難く, 大脳基底核石灰化を認めた場合はその原因となる全身性疾患の有無を精査すべきであると思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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