脳と発達
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単純ヘルペスウイルス1型脳炎罹患後点頭てんかんを発症した1例
大滝 悦生山口 洋一郎塩月 由子片淵 幸彦松石 豊次郎松浦 伸郎山本 正士
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1987 年 19 巻 6 号 p. 502-506

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抄録

単純ヘルペスウイルス1型脳炎 (以下HSV1型脳炎と略す) 罹患後, 著明な精神運動発達遅滞, 両側片麻痺を認め, 8カ月後シリーズ形成する点頭てんかんを発症した1歳4カ月男児を報告した. 病初期の脳波でperiodic sharp wave, CTで左右側頭葉の低吸収域が認められ, 造影剤注入後にはstreak linear enhancementを認めた. 急性期を過ぎた発症後8週のCTでは著明な左右側頭葉, 視床の低吸収域, 第III脳室拡大, 脳皮質萎縮が認められた.髄液でのenzyme-linked immunosorbent assay (以下ELISAと略す) による抗体測定によりHSV1型脳炎と確定した. HSV脳炎は, 局所症状を呈することがよく知られているが点頭てんかんを認めたという報告はわれわれが調べた範囲では見当たらなく極めてまれと考え病巣についても考察を加え報告した.

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© 日本小児小児神経学会
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