1988 年 20 巻 3 号 p. 237-241
著者らは既に報告しているごとく, 胎児水頭症の取扱いについては出生後に短絡術を考慮するCochraneとMylesのプロトコールを参考にして決定している. 最近, 著者らは在胎29週目に超音波検査により胎児水頭症と診断され30週目にMRI検査によってDandy-Walker cystを伴うholoprosencephalyと正確に診断できた1症例を経験した. 今回, 著者らが経験した症例の如くMRIによって子宮内で水頭症の病態が正確にわかるようになれば, 知能予後の良さそうな水頭症に対して本邦でも将来, 胎児手術が行われるようになると考えられる. MRI検査は胎児中枢神経系奇形の病態把握に極めて有益であることが判明したので, 今後さらに症例を重ねて胎児手術の問題を前向きに考えてゆきたいと思っている.