1989 年 21 巻 2 号 p. 181-189
われわれは, 安定同位体 (重水素, 13C) 標識のアミノ酸を用い, in vivoでの代謝回転を分析する方法を確立した.これを小児自閉症患者に応用し, 興味ある所見を得た.
2.それに基づいて, 小児自閉症患者の一部で, 脳内カテコールアミン, セロトニンの代謝の低下があるという仮説を樹立した.
3.この代謝変化を是正する方法として, 微量のL-DOPA・5HTPを使用し, 一部患者で著効を得た.しかし妥当な量の決定が困難な例も少なくなかった.そこでR-テトラハイドロバイオプテリンの試用が行われた.偽薬との二重盲検法による効果判定で, 有意にすぐれており, ことに5歳以下の幼児で有効であることが証明された.