1989 年 21 巻 3 号 p. 265-270
Cockayne症候群は, 1936年Cockayneが報告した, 特徴的顔貌・発達遅滞・網膜色素変性症・大脳基底核石灰化・日光過敏症等を特徴とする常染色体性劣性遺伝疾患である.
Schmickelらの報告により, 皮膚培養線維芽細胞の紫外線感受性が本質的に重要と考えられている.今回我々は, 臨床症状と紫外線感受性に差が存在する非定型的な早期発症姉弟例を経験したので報告する.4歳の弟は生後6日目よりすでに神経障害の兆候が見られ, 日光過敏症も出現したが, 8歳の姉は日光過敏症を欠き, 神経障害も弟より軽度であった.紫外線感受性試験では, 弟は正常対照と色素性乾皮症の中間程度の感受性を示したが, 姉の感受性は弱陽性であった.