2024 年 16 巻 1 号 p. 5-10
インプラント臨床における第一義は,失われた歯の咀嚼機能を代替すること,すなわち失われた歯に代わり咀嚼荷重を支持することである.「荷重」付加の時期や多寡はその成否にきわめて重要な要素であり,荷重のもたらすインプラント周囲への影響を明らかにしたいという思いから,インプラント周囲骨の骨質に着目した研究に着手した.幸運にも骨質の評価方法として「骨の配向性」と出会い,さらには多くの助言を得て「骨質を制御するインプラントスレッドデザイン」の開発を手がけ,製品開発につなげることができた.本稿では,みずからの経験を基に,インプラント研究開発の概要から上市に至った経緯を紹介するとともに,一般的な産学連携共同研究,そして大学における研究の権利化,そして社会実装までの工程について解説し,アカデミアとしての研究開発,社会還元の望むべきあり方について考察する.