抄録
小児モヤモヤ病においては頭蓋内・外血管吻合術が現在治療の主流を占めているが, 手術前後の血行動態の変化を, 超音波Doppler法により評価を行った.吻合術は浅側頭動脈一中大脳動脈吻合術, encephalo-duro-arterio-synangiosisを施行し, 脳主要血管およびbypassのdonor arteryである浅側頭動脈の血流速, 血流速波形を分析し, 術後の血管写所見および臨床所見と比較検討した.浅側頭動脈での平均最高流速は術前に比べ術後には有意に増加し, また, 血流速波形は術前には外頸動脈パターンを示していたが, 術後には内頸動脈パターンに変化した.この所見は血管写所見および臨床症状, 脳波所見の改善とも一致を認めた.超音波Doppler法による血流速測定は, 小児モヤモヤ病に対する頭蓋内・外血管吻合術の評価に有用であると考えられた.