抄録
重症心身障害児の運動機能・運動発達におよぼす前庭機能の影響を知るため, 31名の重症心身障害児 (2~20歳) において前庭機能検査 (温度眼振検査+回転眼振検査), 聴性脳幹反応, 頭部CTスキャンを行い, その結果を運動発達の程度と比較検討した.この結果前庭機能障害の程度が強いほど運動機能障害が強く, またそのような例では脳幹部の萎縮も著しい傾向が認められた.聴性脳幹反応は運動機能発達の程度と直接の関連は見られなかった.重症心身障害児における運動機能発達に前庭機能は重要な役割を果たしており, 前庭機能検査は児の運動機能の予後判定に有用であると考えられた.