脳と発達
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アシクロビル投与後に白質の広汎な病変が示唆された単純ヘルペス脳炎の1例
田村 忠久今野 金裕松本 俊介後藤 恒夫渡辺 一夫
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1990 年 22 巻 5 号 p. 488-493

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抄録
自然治癒傾向を示し, アシクロビル投与後に, 白質の病変が生じた, 単純ヘルペス脳炎の2歳男児例を経験した.CT検査では, 皮質の楔型の出血巣や, 脳回の造影剤増強効果がみられ, 2カ月後には両側性に広汎な白質の低吸収が認められた.MRI検査では, 出血巣はT1強調画像で高信号に, 周囲の炎症性変化と白質の変化は, T2強調画像で高信号として明瞭に認められた.このときの髄液蛋白とmyelin basic proteinは有意に上昇し, 白質の変化は脱髄と考えられ, 可逆性であった.この病変の発生には, 単純ヘルペスウイルス感染の白質への進展, 同ウイルスの感染に伴う免疫異常, アシクロビルの副作用などの関与が疑われた.
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© 日本小児小児神経学会
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