脳と発達
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高次脳機能障害を呈した多発性硬化症の1例
畠山 和男相原 正男清水 晃内田 則彦犬飼 岳史
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1991 年 23 巻 1 号 p. 76-80

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抄録
小児期に発症し, 多彩な高次脳機能障害を呈した多発性硬化症 (MS) を報告した.症例は, 12歳男児, 右利き.数日間続くふらつきと頭痛が2カ月前にあり, 今回同様の症状が再び出現し, 視力・視野障害, 左脳神経麻痺, 左側優位の錐体路徴候, 右側の知覚障害が認められるようになった.さらに, 健忘性失語・失算・観念運動失行・手指失認・左右認知障害といった高次脳機能障害が出現した.また頭部X線CTで左頭頂葉白質の広汎な低吸収域を認め, 中脳右前外側と両側視放線にも低吸収域を認め, 以上よりMSと診断した.高次脳機能障害を呈するMS症例は極めて稀であり, 高次脳機能障害の発現機序として, 皮質問伝導障害の関与が推測された.
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© 日本小児小児神経学会
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