1991 年 23 巻 1 号 p. 87-92
亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) と診断された3例について, 閉鎖回路ビデオ脳波モニタリング (CCTV-EEG) を用いてその発作性の運動症候を観察検討した.その結果全例において, 覚醒中で, かつ座位・立位・上肢を伸展挙上しているなど抗重力筋が一定の緊張を保っている時に限り, 体全体が一瞬傾き頭部が前屈する運動や上肢が落下するのが観察され, かつ脳波上の反復性同期性発射 (PSD) 出現と1対1の対応が認められた.その際, それまで認められていた随意的筋収縮が中断し筋放電が消失することがCCTV-EEGにおいて確認された.SSPEにみられるこの運動現象に関するこれまでの報告と比較検討し, asterexisとの関連から考察を加えた.