1991 年 23 巻 6 号 p. 560-566
水頭症児の管理のため, パルスドプラ法で前大脳動脈 (ACA) のPourcelot's index of resistance (RI-ACA) と脳底動脈 (BA) のRI (RI-BA), RIratio (=RI-ACA/RI-BA) を水頭症児7例で10回, 治療前後に測定した. 治療前のRI-ACA, RI-BA, RIratioの平均値±標準偏差はおのおの, 0.831±0.050, 0.800±0.053, 1.039±0.030であり, いずれも標準値より有意に高値だった. またRI-ACAはRI-BAより有意に高く, 全例でRIratio>1.00となった. 治療後ではRI-ACA (0.654±0.099) はRI-BA (0.684±0.101) より有意に低値で, 全例でRIratio<1.00となった. またRI-ACAは標準値よりも有意に低下したが, RI-BAとRIratio (0.957±0.024) は標準値との有意差がなかった. 以上より, 水頭症児の管理にRIratioが有用と思われた.