1991 年 23 巻 6 号 p. 577-582
例の正常小児と63例の痙直型脳性麻痺児を対象として, 脛骨神経を膝窩部で皮膚上から電気的に二重刺激し, 腓腹筋からH波を導出してH波促通曲線および回復曲線を得た. 正常小児では低年齢児ほど促通が大きく, また回復も大きい傾向が認められた. 一方, 脳性麻痺児では全ての年齢群で正常児に比較して促通も回復も大きい傾向が認められた.
促通曲線は脊髄α運動ニューロンプールにおける閾下縁の大きさを, 回復曲線は発射帯におけるα運動細胞の興奮性を表わし, ともに上位中枢からのコントロールを受けている. 本研究によってこのような筋緊張調節のための脊髄機構に対する上位中枢からの抑制が加齢や痙性の存在のもとで変化することが示された.