抄録
空腸膜様狭窄による巨大十二指腸に伴い極めて重篤な神経症状を呈した4歳6カ月の男児を報告する.乳児期より反復性嘔吐を繰り返し, 2歳過ぎより神経症状は寛解, 増悪を繰り返していた.4歳6カ月で歩行不能となり入院.血液検査にてmultiple vitamin deficiency (B1, B2, B6, E) を示した.少量のビタミンB1投与で筋力低下, 眼振, 仮面様顔貌などはすみやかに改善.治療経過よりビタミンB1欠乏による神経症状と考えられた.頭部CTでは一過性の被殻の低吸収域を入院半年前に示し, その後軽快していた.ビタミン欠乏の原因として食物の停滞とビタン吸収障害の関連が考えられたが最終的には不明であった.