小児の言語障害は多岐にわたり, 生理学的心理学的発達と環境を巻き込んだ複雑な様相を呈する. 従ってこうした様々な背景をもつ児やその家族と接する言語治療士 (ST) は, 自らのコミュニケーション態度を客観的に見つめ, 調節できる能力を何よりも重要とする. このことを基盤にして, 個々の障害像に適した治療プログラムを設定する技術的能力が求められる. 本論では小児の言語障害を概観し, 言語治療の功罪について考察した. その上で運動型言語発達遅滞児および感覚型言語発達遅滞児の事例を通じて, 言語障害児に対する具体的な関わりを紹介した.