脳と発達
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神経筋症状を主訴としたACTH単独欠損症の1例
久保 尚美糸数 直哉井上 忍
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1997 年 29 巻 1 号 p. 67-72

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抄録
神経筋症状を主訴としたACTH単独欠損症の1例を報告した.症例は女児で, 周生期の異常と初期発達の遅延がみられたが, その後は順調に発達した.11歳の時から全身倦怠感と学業成績の低下が認められた.近位筋優位の筋力低下と知的退行, CK高値, 甲状腺機能低下, 心電図異常, 脳波の基礎律動の著明な徐波化や局所脳血流低下など多系統の異常がみられた.神経筋疾患に関する精査で確定診断は得られず, 2年の経過でIQは低下したが, 筋力低下は進行しなかった.14歳の時に偶然気づかれたACTH低値が診断の糸口になった.経過中, 低血糖や電解質異常などの副腎機能低下の症状はなかった.多系統が障害される神経筋疾患の鑑別診断には本症を考慮する必要がある.
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© 日本小児小児神経学会
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