脳と発達
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受動的および能動的注意機能に関する研究
I. 体性感覚事象関連電位の等電位分布図による検討
畠山 和男相原 正男神谷 裕子下田 智佳子金村 英秋佐田 佳美中澤 眞平
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1998 年 30 巻 1 号 p. 30-37

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抄録
受動的注意と能動的注意の違いについて研究する目的で, 健常成人17名に対し, 体性感覚刺激を用いた注意課題を行い, とくに誘発電位成分の頭皮上分布様式について検討した.刺激後200~300msecで最大の陽性方向のピークを示す成分 (P250) が認められ, その等電位分布は, 受動的注意では中心部に明瞭な増大が, 能動的注意では中心部から前頭部にかけて広範な振幅増大が確認された.したがって, P250は, SquiresらのP3aに類似した受動的注意を示す成分と, 能動的注意による成分から形成されていると考えられる.さらに能動的注意における前頭部での振幅増大現象は, 短期記憶に基づく刺激予期と覚醒水準の維持に関連している可能性が示唆される.
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© 日本小児小児神経学会
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