抄録
受動的および能動的注意機能における発達の差異を研究する目的で, 体性感覚事象関連電位のP250成分の発達的変化を検討した.受動的注意でのP250振幅は, 年少児ではPzに優位な分布を示し, 年長児では成人と同様にCzに優位な分布に変化した.一方, 能動的注意でのP250振幅は, 年少児でPzに最大振幅を認めたが, FzとCzにおいて10歳前後に最低振幅を示した後, 次第に有意な振幅増大を示し, 最大振幅部位もCzに移行した.成人群では最大振幅部位はさらに前方に移行した.能動的注意におけるP250振幅とそのトポグラフィックな変化は, 年長児および成人において短期記憶に基づく刺激予期および覚醒水準の維持が可能になったためと考えられる.