1998 年 30 巻 1 号 p. 69-74
計算障害, 書字障害, 左右認知障害, 手指の呼称障害など発達性Gerstmann症候群類似の症状を示した学習障害例を報告した. 神経心理学的検討によって聴覚性言語能力障害を背景とし, 音声と文字との連絡障害および順序性障害の組み合わせた病態であろうと推測された. MRIにて左半卵円中心の白質に陳旧性梗塞と思われる病巣が認められ, single photon emission CTでは, 左頭頂葉における血流低下が示唆されたことより, 本例の高次脳機能障害には, 左大脳半球頭頂葉の機能低下が関係していると思われた.