抄録
偶然多発性嚢胞状陰影を認めた男児を報告する.家族歴, 分娩歴に異常なし.高ビリルビン血症で光線療法を施行された.2歳8カ月時単純性熱性痙攣あり.4歳1カ月時脳振盪で入院し, 頭部CTで左側脳室周囲に小円形, 管状低吸収陰影を認めた, MRIではT1, T2, プロトン強調像で髄液と同じ輝度の多数の小円形, 管状陰影が同様に認められ, これらが穿通動脈の走行の分布と似ていることから異常に拡大したVirchow-Robin腔と診断した.7歳まで経過観察したが5歳で脳波上てんかん波が認められた以外, 発達は正常であった.Virchow-Robin腔の拡大機序がさらに研究されるべきと思われた.