脳と発達
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ACTH治療中に, 心臓腫瘍に伴う両心室流出路狭窄をきたした結節性硬化症の1例
吉見 修子大迫 豊西畠 信家室 和宏
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1999 年 31 巻 2 号 p. 165-170

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抄録
West症候群のACTH治療中に両心室流出路狭窄が出現し, ACTH療法の中止を余儀なくされた男児例を報告した.胎児期より心臓腫瘍を認め, 結節性硬化症の診断で経過観察中であったが, 生後5カ月時West症候群を発症し, ACTH少量投与を開始した.数日後, 心雑音が増強し心臓腫瘍の増大がみられ, 両心室流出路狭窄が著明となり, 心室頻拍などの不整脈が出現した.このためACTH連続投与は12日間で中止し, β遮断剤の併用で症状は改善した.2カ月後の心エコー検査で流出路狭窄はほぼ消失していた.結節性硬化症患者のACTH療法では, その投与量にかかわらず心臓の形態や機能の経時的観察が不可欠である.
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© 日本小児小児神経学会
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