睡眠脳波を記録する目的で自然睡眠の他にリン酸トリクロロエチルナトリウム, 抱水クロラール, ペントバルビタールカルシウムの3種類の異なった睡眠薬を服薬させ睡眠導入効果, てんかん性発作波の賦活効果などを比較検討した.対象は581例の小児科神経外来の患者 (平均年齢12.5歳) で, うちてんかん患者は410例である.覚醒-入眠-睡眠の三段階完全記録が可能であったのは, 薬剤なしでは225/233例 (97%), リン酸トリクロロエチルナトリウムでは230/241例 (95%), 抱水クロラールでは20/22例 (91%), ペントバルビタールカルシウム72/85例 (85%) であった (睡眠導入効果の有意差はなし, p>0.05).また, てんかん性発作波に対する睡眠時賦活効果は自然睡眠では15/60例 (25%), 誘発睡眠では29/83例 (35%) にみられた.以上より3種類の薬剤はいずれも日常の脳波検査に際し, 睡眠導入に有用であると考えられた.
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