抄録
Sotos症候群の5歳女児に合併したacute shock encephalopathy syndrome (ASES) の1例を紹介し, その病態とReye症候群 (RS) との異同を中心に報告する.臨床経過は痙攣重積およびショックが先行し, 次いで血管内凝固症候群 (DIC) と肝逸脱酵素の上昇がみられた.肝逸脱酵素の上昇が緩徐, 末期でビリルビン値上昇, 初期のアンモニア値が正常などの点は定型的RSとは異なった.肝細胞はびまん性に傷害され, 細胞内空胞化・顆粒状変性などがみられ, RSの肝組織とは全く異なった.以上からASESの経過は, ショック/脳症 (何れが先行かは不明) →DIC→多臓器不全であり, RSとは異なることが推測された.なお, Sotos症候群と本疾患の因果関係は不明であった.