脳と発達
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発達障害の睡眠障害, 情緒・行動障害に対するmelatoninの有用性について
発達障害50例に対するmelatonin治療の経験
石崎 朝世洲鎌 倫子竹内 紀子
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1999 年 31 巻 5 号 p. 428-437

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抄録
睡眠障害を有する発達障害児者50例 (3歳~28歳, 男41, 女9, 自閉性障害27, 精神遅滞20, 重症心身障害3) の睡眠障害, 情緒・行動障害に対して, melatoninの効果と副作用を調査し, その有用性を検討した. 睡眠障害の内訳は, 不眠症44例, 概日リズム睡眠障害6例であったが, melatonin就寝前服用により, それぞれ39例, 3例が改善し, 服薬継続で効果が減弱した例があった. 情緒・行動障害改善例は, 全て睡眠障害改善例であり, 易興奮性が約3分の2で改善した. こだわり, 常同行動, 登校拒否・通所拒否はほとんどの例で変化がなかった. Melatonin就寝前服用は42/50例の睡眠障害に有効であり, 副作用は17/50例に認めたが危険なものはなかった. 効果には, 睡眠障害の病態, 環境要因, 心理的要因が影響した. 副作用などを考慮し34/50例に有用とした.
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© 日本小児小児神経学会
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