抄録
右上肢にmuscle crampを認めた1男児例を報告する. 生後32日, 化膿性髄膜炎に罹患し, その後右上肢の不全麻痺を認めていた. その後, 右手のミオクローヌス様の動きを散発的に認めた. 6歳以降, 右腕を屈曲強直する発作が出現し, 頻度も増加し, 痛みを伴うため, 10歳時に入院した. 発作時脳波では右半球に筋放電の重畳をみるのみであり, 発作時針筋電図は周期的な多相性運動単位電位の連続放電を示したためmuscle crampと診断した. その後, 筋弛緩剤および漢方薬で症状はコントロールされた. 上位中枢障害, 不全麻痺を背景とするmusclecrampはてんかん発作との鑑別上重要と思われた.