抄録
Focal cortical dysplasia (FCD) におけるてんかん発作と認知障害との関連を知るため, 乳幼児期に発症した複雑部分発作が11歳で再燃した2女児例でWISC-Rと123I-IMPSPECTを10年以上にわたって検討した.左頭頂葉のFCDで計算障害や健忘性失語があった14歳女児では, 再燃後に文章の意味が解らなくなり, 言語性IQも94から63に低下した.SPECTの集積低下部位も左頭頂葉から側頭葉に及んだが, 発作消失後に改善した.左前頭葉に病変のある12歳女児では, 痙攣再燃後に言語性IQが91から76, 下位検査の「知識」の評価点が8から4に低下した.また, 左前頭葉の集積 (カウント比) も, 0.86から0.64に低下した.FCD患児では, てんかん発作が認知障害に影響を及ぼしており, 123I-IMP SPECTは両者の関連を明らかにするのに有用だった.