脳と発達
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回復期に性行動異常などの精神症状が出現したヘルペス脳炎の1例
山本 聖子阿部 孝典
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2002 年 34 巻 1 号 p. 61-65

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抄録

発熱, 幻聴および髄膜刺激症状で発症したヘルペス脳炎の14歳女児例を経験した.頭部MRIで, 右側頭葉内側皮質野を中心に右前頭葉と左側頭葉に広範囲の炎症像を認め, 髄液ヘルペスウイルスHSV-DNA (PCR) が陽性であったため, ヘルペス脳炎と確定診断した.入院後1週間で意識障害は軽快, 髄液HSV-DNA (PCR) は陰性となった.Acyclovirは入院時より開始し, 計23日間 (総量350mg/kg) 投与した.第40病日に退院となったが, 第90病日頃より脱抑制, 集中力低下および異性への関心が増大するなどの言動が出現した.頭部MRIで側頭葉の萎縮に伴う側脳室の拡大が著明となっており, これが精神症状の出現に関与していると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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